1950年代に活躍した女優たちといえば、「ライムライト」でチャップリンと共演したクレア・ブルーム、「地上より永遠に」の妖艶な魅力で有名になったデボラ・カー、「巴里のアメリカ人」でデビューしたレスリー・キャロンなど、多くの名花たちが思い浮かびます。
今回は1950年日本映画館で公開された洋画をご紹介。
自転車泥棒
盗まれた自転車を取り戻そうと奔走する親子の姿を通して、戦後の貧困にあえぐイタリア社会を描いた映画。
舞台は第二次世界大戦後のローマ。
不況で失業中だったアントニオは職業安定所の紹介でようやくポスター貼りの仕事を貰えます。
しかし、仕事には自転車が必須。彼は妻の嫁入り道具のシーツを質屋にいれ、自転車を得ることが出来ました。
喜びもつかの間、ポスターを貼っている間に、自転車を盗まれてしまいます。
犯人を捕まえるべく、息子と共に犯人捜しをするのですが…
親は自転車を取り返すことが目的になっていて、ちっとも息子の気持ちを考えません。心の余裕がないという感じ。
息子はいつだって、父親の側を離れず、常に父親の事を考えています。
いつものことながら、心に余裕がなければ、子どもの気持ちに気付かず、自分の事で頭がいっぱいになってしまう大人に自分を重ねてしまいました。
イースター・パレード
ミュージカルスターのジュディ・ガーランドとフレッド・アステアが初共演を果たしたミュージカル映画。
舞台は1910年代のニューヨーク。
ダンサーのドン・ヒューズ(フレッド・アステア)は自らその才能を見いだした恋人ナディーンとコンビを組んで人気を集めていました。
ところが、ナディーンは他の興行に引き抜かれ、ドンのもとを去ってしまいます。
自暴自棄になったドンは、酔った勢いで酒場の踊り子ハンナ(ジュディ・ガーランド)をスカウトします。
ダンスの基本すら知らないハンナを新たな相手役にしようと四苦八苦するドンでしたが、やがて、ハンナの個性をいかせば上手くいくことに気づきます…
赤い靴
アンデルセン童話「赤い靴」を元にバレエダンサーの愛憎と悲劇を描いた名作です。
舞台はイギリスロンドン。
ロンドンのバレエ団にバレリーナのビッキーと新人作曲家の青年ジュリアンが入団します。
アンデルセンの「赤い靴」をモチーフにした新作バレエが大成功を収め、2人はやがて愛し合うように。
しかし、バレエ団を主宰するレイモンドは、ビッキーがバレエだけに集中するようジュリアンをクビにしてしまいます。
ビッキーはバレエを取るか それとも愛を取るか悩み、結論を出しますが、自身の意思とは別に靴は動き、まるで赤い靴に命があるように踊り続けます。
そしてラスト、彼が赤い靴を持ち 照明がその部分を示すシーンは もの悲しく、強烈な印象を残し終えるのでした…
わが谷は緑なりき
舞台はイギリス、ウェールズ。
イギリス、ウェールズ地方の炭鉱町で暮らすモーガン家の男たちは、まだ10歳の末っ子のヒュー(ロディ・マクドウォール)を除いて皆炭坑夫として働いていました。
父ギルム(ドナルド・クリスプ)を始め5人の兄たちが稼いだ賃金は、いつも家の戸口で出迎える母ベス(サラ・オールグッド)のエプロンに置き、姉アンハード(モーリン・オハラ)が湧かしたお湯で身体を洗い、食事につくのが日課でした。
そんな平穏な日々の中長男が結婚。
披露宴の日、アンハードは新しく谷に赴任してきた牧師グリュフィード(ウォルター・ピジョン)と出逢い、互いに惹かれあいます。
貧しくも平和な日々を過ごす彼らでしたが、炭鉱の経営者が賃金を引き下げます。
組合結成を巡って父と息子たちが対立し、一家はバラバラになり…
情熱マノン
舞台は第二次世界大戦下のフランス。
セビリヤの名門貴族の青年ロドリゴは、ひょんなことからナチス占領下で売春をしていた女性マノンを救います。
マノンは、戦時下の混乱の中で生きるために、自らの身を売ることを余儀なくされていました。
情熱的で自由奔放なマノンにあっという間に心を奪われたロドリゴ。
貴族としての約束された将来を捨て彼女と駆け落ちします。
しかし、享楽的な生活を求めるマノンは、金のために平然と愛を売るような真似をし、そんな彼女に心を痛めつつも、盲目的にマノンを愛し続けるロドリゴ。
彼の身には、家族や親友の言葉は届かないのでした。
そしてひとたび罪を犯せば、罪が罪を呼んでいき…
一人の女性のために、ロドリゴは破滅への道を突き進んでいくのでした。
愛は盲目と言いますが、真実の愛とはいったい何なのでしょうか。
お互いが相手を思いやる気持ち、そして価値観の違いは大きく影響されます。
自分を見失うことのないようにしたいものですが、それが出来ないから人は苦しむのかもしれません…