初対面の男性に、心が動くほどの美人じゃないと言われていたら…
お金持ちだけど、高慢で愛想が悪い。
人を見下すような言い方だとこちらから願い下げ。
なのにある日突然のプロポーズ???
訳がわからない。
私があなたのプロポーズを受けるとでも思ったのですか???
今から約200年以上も前に書かれた小説ですが、現代でも充分に楽しめるジェーン・オースティンの小説【自負と偏見】
- あらすじ
- ジェイン・オースティン JaneAusten
- 小山太一 コヤマ・タイチ
- 主な登場人物
- ビングリー家(ネザーフィールド)
- ルーカス家(ルーカス・ロッジ)
- ダーシー家(ペンパリー)
- コリンズ家(ハンスフォード)
- ド・バーグ家(ロージングズ・パーク)
- 時代背景を知る
- 知らなかった事
- 【自負と偏見】の感想
あらすじ
イギリスの静かな田舎町ロングボーンにあるベネット家。
その田舎町ロングボーンの屋敷を借りて引越してくるというのが、ビングリーと言う年収5000ポンドある資産家の独身男性。
資産家で独身男性となるともう近隣は大騒ぎ。
ミセス・ベネットもその1人です。
もう娘の1人と結婚させようと躍起になっています。
ビングリーは、姉妹や友人を連れ、舞踏会にやってきます。
その友人がミスター・ダーシー。
ダーシーは年収1万ポンドもあるこれまた超お金持ち。
しかし、ダーシーの高慢で尊大な態度に、周りの彼を見る目が変わります。
ダーシーが、ベネット家の次女エリザベスについて、「心が動くほどの美人ではない」と友人のビングリーに話すのを、たまたまエリザベスが聞いてしまいます。
そんな事言われると誰だってムカつくし、傷つきますよね。
一方でジェインとビングリーは互いに惹かれ合っていきます。
エリザベスは、にっくきダーシーを拒絶していくのですが、ダーシーは…
幸福な結婚に必要なのは???
ジェイン・オースティン JaneAusten
英国南部ハンプシャー州生れ。1805年、牧師だった父を失うと、母と姉、友人とともに女性だけの生活を送り、創作に専念する。『分別と多感』『自負と偏見』『マンスフィールド・パーク』等の小説は、平凡な日常の中の微妙な心の動きを見事に描き出した点で、イギリス小説史上最高の作品とされている。
小山太一 コヤマ・タイチ
1974年、京都生れ。ケント大学(英国)大学院修了。立教大学教授。マキューアン『愛の続き』『アムステルダム』『贖罪』『土曜日』、ピンチョン『V.』(共訳)、オースティン『自負と偏見』、ジェローム『ボートの三人男』など、訳書多数。
ジェイン・オースティン、小山太一/訳 『自負と偏見』 | 新潮社
主な登場人物
ミスターベネット
ロングボーンの地主
年収2000ポンド。
頭は良いけれど、皮肉屋で周りを冷めた目で見ている
人を小バカにした感じがなんだかなぁ~
ミセスベネット
ベネット氏の妻
5人の娘を持つ
ヒステリックで自己中心
噂好きで、娘たちの結婚に命を懸けている
娘達を想う気持ちは分かるけど、人によって、あからさまに態度に出すのは読んでいる私も恥ずかしくなってしまいます‥
ジェイン・ベネット
長女
5人姉妹の中で一番の美人
こんなに人を疑わない人っている?という位に優しい善良な女性
エリザベス・ベネット(リジー/イライザ)
二女
頭の回転が早く自分の意思がはっきりしている
初対面のダーシーに、自分のことを「踊りたいほどの美人じゃない」と言われ、偏見のかたまりでダーシーの事を、見るようになる
メアリー・ベネット
三女
5人姉妹の中で一番不器量。読書は教養を身に着ける事に励んでいる。
キャサリン・ベネット(キティ)
四女
無分別で、いつも妹のリディアの後をついて回っている。
リディア・ベネット
五女
明るく人懐っこい。頭の中はダンスと士官との恋愛ごっこをすることしかない。
性格が母親と似ており母親の一番のお気に入り。
ビングリー家(ネザーフィールド)
チャールズ・ビングリー
ネザーフィールドの当主
年収5000ポンド
美男で振る舞いも紳士らしい
感じの良い顔つきと気取りのない物腰
ルイーザ・ハースト
ビングリーの姉
ハースト氏の妻
優雅で上流の雰囲気を漂わせている
キャロライン・ビングリー
ビングリーの妹
ネザーフィールドの女主人
姉と同様優雅で上流の雰囲気を漂わせている
ハースト氏
まぁ一通りの紳士
食べる事とトランプが大好き
ルーカス家(ルーカス・ロッジ)
サー・ウィリアム・ルーカス
ベネット家のご近所さん
人あたりはいいが、知的ではない。
ルーカス夫人
噂話が好きなサー・ウィリアムの妻
シャーロット・ルーカス
ルーカス家の長女。エリザベスの親友。
常識人で聡明。結婚は生活のためと割り切っている
マライア・ルーカス
父親と同じく知的ではない。
シャーロットの妹。
ダーシー家(ペンパリー)
フィリッツウィリアム・ダーシー
ビングリー氏の友人
年収1万ポンド
背が高く堂々とした風采
立派な顔立ちで、気品ある物腰
お高くとまった人に見られがち
初めて、エリザベスを見た時はなんの取り柄もないと決めつけ、ビングリーにも公言したその瞬間、エリザベスの魅力に取り憑かれてしまう
‥が、自身のプライドが邪魔をし感情表現を上手くつたえられない
ジョージアナ・ダーシー
ダーシー氏の下の妹
兄のダーシーを慕う可愛い妹
ピアノが上手い
ヤング夫人
ジョージアナの元付き添い兼家庭教師
レイノルズ夫人
ペンパリーに長年勤める女中頭
コリンズ家(ハンスフォード)
ウィリアム・コリンズ
ベネット家の親戚
おべっかばかり使う
ド・バーグ家(ロージングズ・パーク)
キャサリン・ド・バーグ令夫人
貴族でコリンズ氏の後援者
ダーシー氏の叔母
アン・ド・バーグ
キャサリン令夫人の1人娘
病気がち
ジェンキンソン夫人
アンの付き添いん兼家庭教師
ジョージ・ウイッカム
青年士官。美男子で口が上手い。
人に好かれるタイプだが…
ダーシーとは幼なじみ。
ガーディナー氏
ベネット夫人の弟
商業に従事しているため、身分は低いが、裕福で良識がある。
ガーディナー夫人
ガーディナー氏の妻
夫と同じく知的で思いやりがある。
エリザベスと仲が良い。
フィリップス夫人
ベネット夫人の妹
フィリップス氏
メリトンに住む事務弁護士。
フィッツウィリアム大佐
ダーシー氏の従弟で、キャサリン令夫人の甥。
時代背景を知る
【自負と偏見】が出版されてから、すでに200年以上も経っているのに、人間の本質そのものは変わらず、作者が描いた恋愛や人間関係に笑ったり腹が立ったりと今の時代でも充分共感出来るんだなあと思いました。
200年前と言われてもピンとこないのですが、日本でいうと江戸時代。
フランスはナポレオンの時代で、イギリスとしては影が薄いのですが、摂政時代といわれる比較的平和な時代だったようです。
とはいえ、ナポレオンのロシア遠征(1812)やワーテルローの戦い(1815)などがあったため、海軍や陸軍軍人が多く出てくるんですね。
イギリスは、フランスを打ち破って植民地を拡大し、又産業革命によって力を増していく。
当時は商人や成り上がりが急速に勢力を強めていったんですね~。
商業に関わる事はあまり良く思われていなかったようで、自ら手を動かして働くということがダメって。
ウィノナ・ライダー主演映画のプライドと偏見の会話にもミセスベネットが、「コックがいますので、うちの娘は料理なんてものは致しません」って言ってました。
いや、やろうよ〜って思いますけどね。
知らなかった事
マナーはつきものですが、この時代のルールも大変そうです。
初対面で話しかけるのは、必ず身分が上の人から
初対面で話しかけるのは、必ず身分が上の人からだったそうです。そう考えるとミスター・コリンズ氏がミスター・ダーシーに初対面で声をかけるのは大変失礼な事なんですよね。いくらおべっかを使ってもマナーを知らないと恥ずかしい思いをするという事です。
ダンスを申し込まれたら
ダンスを申し込まれて正当な理由なくお断りすると、その舞踏会の間ずっと他の男性とも踊る事ができないんだそうです(理由は断った男性に対して失礼だから)
そんな…気に入らない男性だっているやんと思いますが…
ピアノは金持ちである証拠
ピアノを持っているという事はお金持ちだという証なんだそうです。
ピアノを弾けるというのは、自慢できる事ですね。今でも楽器を演奏出来るのは素敵な事だと思います。
旅行
旅行は遠くに住む友人宅などを訪問すると、数週間~数か月近く滞在するのが一般的です。理由は移動時間や旅行費用も高額なためです。
滞在費用は訪問先が持つのかとか考えてしまいます。
郵便
郵便は高かったのと(距離と重さによる)受け取った相手が支払うことになっていたので、余白があると相手に失礼に当たるため、これまた一枚の紙にぎっしりと書かれてあったそうです。沢山書かれてあると手紙を受け取る側も嬉しいですね。
【自負と偏見】の感想
ベネット家の年収は2000ポンド。
両親と娘5人の生活ですが、限嗣相続(げんしそうぞく)という制度で縛られています。屋敷の分散を避けるために、男子のみの相続に限られるという法律で、ベネット氏のように男子に恵まれない場合、親戚の男子に相続権が移ってしまうということ。
ミセス・ベネットが娘の結婚相手を必死に探すのも無理はないです。
少しでもいい条件のところに娘を嫁がせ、自分達も楽が出来る様にとあからさまにするミセス・ベネット。どうせなら、なるべく条件の良い相手をと母親なら思うはずです。
頭はいいけれど事なかれ主義のベネット氏より一生懸命のミセス・ベネットは、なんだか憎めなくてどこにでもいるよなこんな人って思いました。
キティとリディアは、ギャルそのもの。
ジェインやエリザベスとは比になりませんが、ミセスベネットの考え方や高校生としてみたら、まぁそんな女子高生いっぱいいるよねって思います。
姉妹の中でもイケてないメアリーは勉強ばかりで堅物。
いつも教訓じみた事ばかり言っています。
同じ姉妹でも5人もいるとそれぞれ性格も違うし、いつの時代も子育ては大変だなって思います。
物語の中でイケてるジェインやエリザベスは、勿論カッコよくて憧れるけれど、学校で言うとほんの一部の優等生。
優等生ばかりのお話だと「つまらない話」で終わるけれど、周りの個性あふれる人達がいつの時代にもたくさんいてるから、話が面白いんだろうな~。
小説を読んでいると、彼らがいまにもこちらに話しかけてくるようで読んでいてとても楽しかったです。
何回読んでも飽きない【自負と偏見】おすすめです。