ガネしゃんです。いつも見て頂きありがとうございます。
新聞に「退職金の税優遇」について書いてあったのでご紹介します。
会社員が老後資金を考える場合、退職金の存在はとても大きいです。
退職金の受け取り方によっては手厚い税優遇があります。ただ税の中立性からその「優遇制を見直すべき」という問題について考えてみたいと思います。
負担の違いは3段階
退職金は、給与の後払いや長年働いた事への報償という意味合いがあります。
厚生労働省「就労条件総合調査(18年)」によると81%の企業がその給付制度を設けています。
退職金には一時金と年金の2つがあります。
会社によって、一時金のみ。年金のみ。一時金と年金を併用し受け取り方が選べる。などと制度が異なります。
一時金で受け取る場合は、金額が大きくなり、税(所得税・住民税)を計算する際、給与などと一緒にすると税額が膨らんでしまいます。そこで、給与など他の所得と分けて「退職所得」として独立して税額を決める方法があります。
計算の仕方は、まず退職金額から退職所得控除額を差し引きます。控除額は勤続20年までは1年以上40万円で、20年を超えた年からは同70万円に増えます。さらに残った額の半分を課税対象(課税退職所得金額)とし、それに税率をかけ、税額を出します。
つまり①非課税となる控除額が大きい②控除後の額をさらに半分に圧縮する③他の所得と分ける分離課税のための税率も低い。という3段階で税負担を軽くしています。
退職金への課税は、会社の源泉徴収で済み、確定申告の必要がありません。このために税額を意識しにくいですが、こうした税優遇によって非課税となる人は多いです。22歳で大学を卒業し60歳定年まで38年間働いた人は2060万円非課税。就労条件総合調査によると、大卒者の定年退職金は平均1983万円でこの枠に収まります。
雇用は流動化へ
サラリーマン、特に定年近いシニアにはありがたい仕組みです。
その課税方法を見直すべきだという議論があります。
問題点は2つ
1つは、課税の際、勤続20年を境に控除額を高める設計はそれぞれ同じだが、退職金の税額はAがゼロ、Bは約36万円と差があります。
勤続年数が長いほど控除額が高まる制度は高度成長期の1967年にできました。当時は終身雇用や年功序列型の賃金体系が前提でした。
しかし、そうした日本型雇用慣行は崩れつつあります。雇用の流動化が求められています。リクルートワークス研究所が約5万人の働き方を追跡調査する「全国就業実態パネル調査」によると正社員の約4割は転職の意向を持つ。税制上、転職が不利になる仕組みはこうした現状にそぐわない。
年金受け取りでも
もう一つは、一時金で受け取る場合の課税をことさら優遇していることです。
退職金の受け取り方として一時金と年金を比べると、それぞれにメリットとデメリットがあります。一時金は、住宅ローンの一括返済を想定しているような場合は都合がいいが、多額の資金が入って気が大きくなりすぐに使ってしまったり、投資に回して失敗したりする事もあります。その点、年金なら計画的に老後資金に充てる事ができ、使い過ぎを防ぐことができます。
本来なら、その人の老後生活設計に合わせて考えるのが望ましいはずです。
年金で受け取ると一時金で受け取るより税負担が重くなります。
一時金の場合と異なり、公的年金と合算したうえで、雑所得として課税する方法をとるためです。
国の年金モデル世帯(40年間働いた夫と専業主婦の妻)で夫(年金収入約186万円)が60歳で2000万円の定年退職金を受けた場合、受け取り方が(A)一時金(B)65歳から15年間の年金(利率1.5%)の2ケースについて65歳からの税負担を試算してみます。
(A)は税負担はゼロ一時金も非課税
(B)の税負担は年17.6万円程度、15年間で264万円程度と推計できます。
この違いから、一時金と年金のいずれかで選択できる場合、一時金を選ぶ人が多いです。
しかし、それは一時金が自分に見合っているためではなく、税制上有利であるためだからです。つまり、税制が老後の生活設計を左右している事になります。
最近は、中途採用を柔軟にするため、年功序列の強い退職金制度を見直し、退職金相当分を毎月の給与に上乗せして支払う「前払い形式」を採用する会社もあります。この場合も給与所得として課税するため、やはり税負担が増える歪みがあります。
働き方が多様化するなか、どのような働き方を選んでも、税や社会保険では損得が生じない中立的な制度設計が求められています。同じ会社で長く働く事を前提とする方が有利になる退職金課税のありかたは今後、見直される可能性は高いです。
現役世代が今後のライフプランを考える上では是非参考にして頂きたい問題です。
毎日新聞より引用させて頂きました。
まとめ
副業を進める会社も多くなっていますし、退職金がでない会社も多いです。税の仕組みや社会保険制度のしくみは複雑ではありますが、知った上で対策を取るのと取らないのとではかなりの節税となります。自分の働き方を見つめなおす機会として参考になれば幸いです。